電力・ガス取引監視等委員会
文字サイズ変更

電気料金審査専門会合(第3回)‐議事要旨

日時

平成27年9月10日(木)18時00分~21時00分

出席者

安念座長、圓尾委員、箕輪委員、秋池委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員、南委員

オブザーバー
全国消費者団体連絡会 河野事務局長
日本商工会議所 産業政策第2部 市川副部長
株式会社F-Power 沖取締役
消費者庁消費者調査課 金子課長
資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
説明者
北陸電力株式会社 高林取締役・常務執行役員
中国電力株式会社 松岡常務取締役
沖縄電力株式会社 仲里常務取締役

主な意見

  • 会計処理についてはあいまいなものがたくさんある。同じ内容でも、会社によって資産計上しているもの、修繕費に計上しているものと振り分け方が異なる。今までの振り分けと今回の計上であえて変更したものはないのか。
  • 3社とも需要想定が増加している。電気機器の消費電力は技術開発によって低下しており、新技術で節電効果もあがっているはず。2014年度の需要実績報告書では、電灯も電力も4年連続で3.0%を下回っている。節電傾向を織り込んでもなおプラスに見積もっているのはなぜか。また、自由化が始まると新電力が入ってくるが、影響をどう見ているのか。
    • →産業用が全需要の半分を占めるのが北陸の特徴。長期的に需要は伸びていく。離脱需要については、NW需要としてはトータルとして同じ。北陸は電気料金が安いので、他社よりも離脱が低い。10年スパンでは他社の離脱率を参考にしている。家庭用については、お客様へのアンケート結果をみて、一定程度を織り込んでいる。(北陸電力)
    • →需要については、緩やかながら伸びているが、過去のピークは越えていない。節電等は織り込んでいる。(中国電力)
    • →沖縄は、民生用が需要の8割を占める。人口が伸びている地域なので増加想定としている。(沖縄電力)
  • 高経年化対策について、今ある鉄塔は発電所とセットで作られているはず。例えば、原発が無くなれば、そこにつながる鉄塔もいらなくなるのではないか。今後、自由化が進めば、不要になるものも出てくるのではないか。
    • →近年の立替対象は、山奥の水力発電所に関係する鉄塔や、平野部にある需要向けの送電線のため、将来にわたり必要なもの。新電力が発電所を作る場合などは情報提供いただきながら、極力いろいろな想定をしながらやっていきたい。(北陸電力)
  • 北陸電力が、光搬送装置の更新費用を計上しているが金額が高額なので、どういった理由によるものか説明をしてほしい。他社には含まれていないが、北陸電力に特別な経費なのか。
    • →各社とも持っていると思われる。当社は平準化がこれまでできていなかった。(北陸電力)
    • →投資額の「その他改良工事」として計上している。(中国電力、沖縄電力)
  • エスカレの実績値を入れてほしい。政府見通しは目標値としての意味合いがあるため実績と比較検討したい。
    • →事務局で資料を作成する。(安念座長)
  • 従前からの設備投資計画と申請内容の整合性に関する論点があるが、北陸電力と沖縄電力には中国電力のような計画があるのか。
    • →次回以降の会合や、個別審査で出してもらうこととしたい。(安念座長)
  • 中国電力の設備投資計画のうち、原子力関連工事の繰延額はいくらか。
  • 中国電力が年金資産の期待運用収益率を低く設定していることについて、危険資産の運用を考えていないことと、収益率が国債の利回りより高いという説明には説得力があると思うが、申請された事業報酬率が1.9%であることから送配電事業は相当安定な事業であり、2%程度の利回りを追求しても凄いリスクにならないと思う。したがって、期待運用収益率は2%で設定しても良いのではないか。
    • →期待運用収益率の振れ幅(リスク)を、より抑制できる資産配分を行うという考えから、株式比率を15%から13%に変更した。その中で、収益率についても1.3%が適当と判断し、平成25年に変更した。なお、年金資産は平成26年末時点で年金に係る退職給付債務を500億円程度超過しており、あえてリスクが高い資産の運用を行う必要がない状況である。また、あえて申し上げると、申請原価の退職給与金は8億円であるが、仮に2%とした場合には申請額がゼロないしマイナスになるということも低く設定した要素の一つである。(中国電力)
  • 北陸電力の出向者給与負担について、全てを託送料金原価に算入したのではなく、一定程度を配分しているのか。
  • また、電力広域的運営推進機関や電力中央研究所に係る原価への算入は理解できるが、日本エネルギー法研究所、新エネルギー導入促進協議会、省エネルギーセンター及び㈱パワーアンドITについては、名前だけ聞くと託送料金原価に算入する理由が理解できない。新エネルギーの導入に伴い系統運用が難しくなるから研究を行うという類いなら理解できるが、㈱パワーアンドITは小売や発電ではないか。日本エネルギー法研究所はエネルギー法制や自由化の制度設計等の研究を行い、それが電気料金に入るのがおかしいとは言わないが、託送料金原価に算入することが理解できないので、その理由は何か。
    • →日本エネルギー法研究所の主な事業内容は、原子力に限らずエネルギーに関する国内外の法的問題についての調査研究、新エネルギー導入促進協議会は、スマートコミュニティ事業の補助金運用業務をはじめ、新エネルギー導入促進に関する業務、省エネルギーセンターは、各分野における省エネ、節電、使用量削減等の推進を行っている。電気事業全体のうち、託送に係る部分は、一般管理費に整理のうえ、託送部門に配分される。また、パワーアンドITへの出向者3名はデータセンターで、電気事業の運営に必要な業務システムサーバの運用管理を行っていることから、託送部門に按分している。3名分の原価は少額であるが、指摘されると厳しい。(北陸電力)
  • 沖縄電力は委託検針費等について小規模事業者と比較すると遜色ない水準と説明しているが、この比較は予想が付く上、実害がないと思えるのに、何故、比較対象の会社を匿名表記しているのか。公開されているデータを採取しているのであれば会社名を表記しても良いのではないか。電力会社の体質として、会社名を表記するのははしたないと思っているのだろうが、経営情報が含まれない限り、公開の席では皆の透明性を高めるために、今後は匿名表記をしないでほしい。
    • →販売電力量を1人当たりで割っているだけであり、ホームページや有価証券報告書で分かるはずなので出して構わないと思う。(安念座長)
  • 需要実績について、託送料金は固定費の割合が大きいので、需要が小さくなると託送料金が上がる。需要想定があまりにも保守的になっていないかという疑念を持つ方が妥当。
  • 鉄塔の寿命はケースバイケースで、例えば海の近くに立地する鉄塔は80年も維持できないだろう。一方で、多くの鉄塔は80年周期で建て替えるかは疑問。海の近くのものも含めた平均が80年という説明ならば、まだ理解できる。
  • 年金資産の期待運用収益率について、中国電力の考え方は現状を踏まえ、現在のマーケットの環境が続くという前提の話だと思うが、マーケット、株、債券はどうなるか分からないので、断定的なことを言ってはいけないとされている。分からない前提で話すとなると、政府が達成できるかどうかはともかく、2%の期待に向かって色々な施策を打っていくので、2%を統一的に使うことが正しいのではないか。仮に大きくずれたら事後的に新たに計算して申請を行うこともありうるが、そこまで詰める話しではないだろう。
    • →年金資産の期待運用収益率については、個社の投資判断や投資戦略があるので、何が正しいかは言えないが、一方で、これは電気料金の審査の問題なので、個社がどう考えても、託送料金への算入を認める範囲は我々が責任をもって決める。(安念座長)
  • これまで退職給与金の原価は統一しており、それが望ましいという議論があったかもしれないが、基本的に、どの会社でも日々支給される給料に比例する形で退職給与金が支給されると思うが、給与には地域補正があって、退職給与金には地域補正がなく全国統一となっているのはどうしてか。退職給与金にも同じように地域補正があって然るべき。
    • →地域補正の適用については我々が決めたこと。過去の経緯を調べてみる。(安念座長)
  • 設備投資について、鉄塔の寿命を北陸電力は80年としているが、中国電力は大正9年のものがあるので100年になっている。2割も違うが、地域特性で差を説明できるのか。80年を正当化する他の技術的裏づけやデータがないか。早急に対応すべきものがあって、今やらなければならないという説明をしてほしい。
    • →鉄塔の寿命について、80年を裏付ける決定的な根拠はない。古いものは状況を見ながら使い続けている。(北陸電力)
  • 電柱についても、各社の寿命の差を技術的に説明して欲しい。
  • 北陸電力のコンクリート柱建替計画について、平成47年に対応すべきものを今回平準化している。20年も前倒しして取り替えることを正当化できるのか。80年もつものを60年で取り替えるということか。より長く使えないのか検証するのが普通ではないか。
    • →20年の前倒しが正当化されるかは、査定で大きなポイントになる。(安念座長)
    • →経年劣化調査は、条件のよい電柱で試験しているため、上限が80年ということ。電気共同研究会によると寿命は53年であり、それを過ぎると設備毎にばらつきを持ちながら寿命が来る。つまり、おおむね80年、早いければ53年程度の寿命である。(北陸電力)
    • →53年は目安でしかない。検査の結果、一定の安全レベルを下回ったら、優先的に工事を行う。(中国電力)
  • 年金資産の期待運用収益率は実績がどうなのかという疑問はあるものの、原価の査定の話である。事務局資料の論点(ウ)に記載されている「電気料金の値上げ申請した事業者に対する査定方針に沿ったものとなっているか」という観点からすると、事業者はこれに合わせなければならない。
  • エスカレについて、中国電力は考慮していないが、他の2社は考慮している。地域差があるとは思えない。基準を合わせにいく必要があるか委員内で検討すべき。
  • 中国電力は設備ビジョンでH29まで計画があるが、原価算定期間のH30年はどういう根拠で算定しているのか。H31以降の設備投資計画とあわせて検証が必要。
  • 北陸電力では、鉄塔立替に関して、H30年以降も計画があるが、いつどのような形で社内オーソライズされたのか。過去の実績において、状態をみて繰り延べているとあるが、繰り延べ前の計画があったはず。計画値と実績とのずれ、社内オーソライズの状況についても示されたい。
  • 沖縄電力は計画が不明だが、将来計画との整合性はあるのか。
  • 高経年化について、インフラ産業では似たようなことが起こっている。技術的な寿命の問題と、資金の問題、工事量の問題を見て、平準化しているはず。工事量で制約があるのかどうか。誰でもできる工事ではないので人材育成も必要。
  • 沖縄電力の配電設備について、高経年化対策を目的とした工事計画はない、とあるがどういうことか。
    • →必要性が無いわけではなく、会社が新しいので無い。設立が1972年のため、民営化前のものを含めても配電設備についての計画は現時点では無い。(沖縄電力)
  • 高経年化については、広域機関の検討についても参考にしたい。
  • 北陸電力の設備計画について、過去に作られたものをすべて更新するような計画になっている。需要の伸びの鈍化等による拡充工事の減少や、地域によっては新たに更新しなくてもいいところもあるのではないか。
    • →面的にエリアをカバーしており、なにかしら必要なため撤去できないのが実情。コンクリート柱など配電設備の一部には更新の減少が可能かもしれないと考えられ、送電線も一部不要なものは出てくるが、全体の数には影響しない。(北陸電力)
  • 同種の設備等を多数設置するなら、量産品の活用等による効率化(ボリュームディスカウント)は反映されているのか。
    • →ボリュームディスカウントについては、大量に工事を行うと施工力が不足するのでかえってコストが上がる。このため、大量一括工事を抑えるのが戦略である。工事量については、施工者が減る中で、平準化しており、若い人を集めなければならない。(北陸電力)
    • →設備ビジョンを策定した目的の一つが施工力の向上。時間をかけて施工者側の体制を整えなければならない。(中国電力)
    • →工事資金の支払時期の分散化が必要であり、施工業者の施工力の問題から、一時期に工事を集中して行うのは難しいという実態がある。10-2 P12 (沖縄電力)
  • 査定後も、事後評価の中で実績と差を評価していくべき。
  • 中国電力の有給出向者数584名のうち、託送料金原価への算入が非常に多い。その仕事の適否は分からないが、北陸電力と同様に示されたい。
  • 北陸電力の役員数について、平成20年改定時より社外役員が増えていることは良いかもしれないが、きちんと説明をしてほしい。中国電力の役員数について、現在の会社法は社外役員を増やそうとしている上、給料も安いと思われる社外役員が減り、社内役員が増えている。これらの理由を説明してほしい。
    • →出向者給与負担はこれまでの審査でも問題となり、細かい資料を提出してもらって個別審査を行った。役員数は、東北電力の審査時に、何人かは原価に含めるべきではないと査定した。いずれも、個別審査で確認する。説明資料あれば次回以降、提出してほしい。(安念座長)
  • 高経年化設備については、占める金額が大きい。60年前より技術革新が進んでおり、効率化につながっているはず。どのように考慮されているのか。
  • 鉄塔や電柱の建替計画が平成102年まである。これだけ長いと地域人口動態などどのように計画に入れているのか。
  • これだけ長期需要リスクがあるのに、20年前に経営判断するというのは普通の裁量行動なのか。もう少し情報が確定してから投資判断をするのではないか。
    • →今後10年スパンでの設備投資計画はあるが、それ以後の計画はないのが現状である。(北陸電力)

以上

関連リンク

お問合せ先

電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課

最終更新日:2016年4月1日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. A Rights Reserved.