電力・ガス取引監視等委員会
文字サイズ変更

電気料金審査専門会合(第5回)‐議事要旨

日時

平成27年10月8日(木)14時00分~16時40分

出席者

安念座長、圓尾委員、箕輪委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員、南委員、山内委員

オブザーバー
全国消費者団体連絡会 河野事務局長
日本商工会議所 産業政策第2部 市川副部長
株式会社F-Power 沖取締役
消費者庁消費者調査課 金子課長
資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
説明者
北陸電力株式会社 高林取締役・常務執行役員
中国電力株式会社 松岡常務取締役
沖縄電力株式会社 恩川常務取締役

主な意見

  • 北陸電力の資料3-3P1について、鉄塔はメンテナンスが困難なものから優先して建て替えているという説明だが、全部の鉄塔9300基のうち、メンテナンス困難な数が半数の5050基あるという認識でよいか。次に、メンテナンスが困難な鉄塔の施設年度分布と原価算定期間に更新が必要となるものとの関係はどう読み取るのか。まだ使える鉄塔を前倒しして更新しないことの説明になっているのか。
    • →グラフは鉄塔施設年度+80年で分布したもの。H32年からH42年に分布がないのは、80年前が戦時中だったため。その後、高度成長期で鉄塔の施設が増えている。H27年からH32年はいずれ建て替えをしなければならない優先順位の高いものしかない。優先順位の低い「その他」の鉄塔は入っていないということを示した。(北陸電力)
  • 原価織込3カ年計で183基の建て替えが必要とあるが、これはグラフのどこに該当するのか。グラフを読み取ると100基前後ではないか。183基との関係はどうなっているのか。例えば、これから建て替えが発生する旧規格鉄塔1600基を平準化した結果なのか。そうすると、前倒しをしているとの説明と矛盾するのではないか。
    • →例外はあるにせよ、H32年までのほとんどが建て替えの対象。H43年~H50年頃のオレンジ色部分が相当数・一部が入っている。電線張替張困難なものが48基あり、これらの平均経年61年となっている。H30年までのグラフにこれらが一部含まれている。(北陸電力)
  • 80年持つものを61年や57年で建て替えては駄目ということではなく、人手確保のための平準化や、まとめて建て替えたほうが効率的といった合理的な理由があればよいと思うが何か説明があるか。
    • →第3回会合の資料6-2P8にあるとおり、張り替え困難なものは、H4年に製造中止になった複合銅覆鋼による線を使っており、これをアルミ電線を施設できる鉄塔に建て替える必要がある。(北陸電力)
  • 原価算定期間に183基織り込んでいるということだが、「うち旧規格125基」とある。差分は何か。
    • →原価織り込み183基のうち、125基は旧規格鉄塔。差分にはもう少し新しいものも含まれている。このほか、H29年の77kVの伐採拒否されたA線などもある。(北陸電力)
    • →ヒラバではよくわからないので個別審査でやりましょう。(安念座長)
  • 北陸電力の指摘事項2の回答について、取り替えた変圧器が本当に適切な時期に取り替えられていたのかちゃんと評価しているのかという質問だったが、P3では事故となった変圧器の絶縁紙の平均重合度の話をしている。取替時期が適切だったかどうかという説明になっていないのではないか。運転中のトランスの平均重合度をどうやって調べているのか。
    • →資料3-3P2にあるとおり、取替え時期のよりどころはJEC2200。北陸は気温が低いので、20℃の線をグラフでたどると寿命50年になる。他方で、中国電力の説明にあった寿命40年も意識しており、平均重合度(変圧器の中の絶縁紙の尺度)のクリティカルな数値である450を切っていないか予防的に見ている。それが正しいかどうか確かめるために、事故があったものを確かめたところ、平均重合度450を切っていた。50年という目安を持ちつつも、一つ一つの変圧器を見ている。  トランスは実際に撤去したものをチェックしている。運転中のものは、油中の成分(フルフラールなど)の量と平均重合度の相関関係があるので、そのデータを使って一部をサンプリングして平均重合度を推計している。(北陸電力)
    • →なぜ、平均重合度450以下のトランスで毎年事故が起こっているのか。逆に考えれば、チェックしていれば50年以上使えるものも分かるのではないか。平均重合度450と、寿命50年の関係がよくわからない。
    • →実際に平均重合度450を切って運用しているトランスもある。450を切ったものを直ちに取り替えては数が多すぎる。あいまいさが残るが、50年という目安と、450という平均重合度を総合的に勘案して、最終的にはサビ等の状況を見て取替えている。(北陸電力)
  • 北陸電力の資料3-3P1について、原価織込の内数である旧規格125基には 電線張替困難なものだけではなく低地上高のものも入っているのか。改修工事の表を見ると、電線張替困難なものが48基、低地上高のものが135基あり、旧規格125基には低地上高のものが含まれていると考えられる。同ページのコラムでは、旧規格=電線張替困難と読める。
    • →旧規格は1600基。グラフのH57年より手前のオレンジと赤の部分を足すと1600になる。そのうち125を立て替えるというもの。電線張替困難なものとして、「旧規格鉄塔など」と記載しており、旧規格以外のものも含まれている。(北陸電力)
    • ※北陸電力に対して、改めて(文字情報になってもよいので)きちんとした説明資料を求めることとなった。
  • 北陸電力について、エスカレを労務単価に織り込まないと、不落が続出して安定供給に支障があるということかもしれないが、他社は100%の不落を覚悟しているわけではない。全体としての効率化は足元まで織り込んで、さらに、労務賃金の上昇まで織り込んで効率化するとなると真水の効率化より大きくなるということだと理解する。しかし、北陸電力だけエスカレを認めると効率化の定義が他社と揃わなくなるので、エスカレを認めて北陸電力だけ高い効率化を求めるか、他社と揃えるかどちらかにするべきだと考えている。ただ、この専門会合がエスカレを認めず今までの労務単価でやれと言うことではないし、不調で良いということでもなく、あくまで料金上、整合性を図るためということは理解いただきたい。
    • →エスカレについて、前回、入札不調は地域性もあるのかということや、中国電力では支障ないという話があった。料金値上げの原価算定時は物価上昇が見えていなかったので、インフレ率は問題とならなかった。しかし、値上げ各社と合わせるべきというのは短絡的ではないか。一つは、物価上昇時にエスカレを勘案しないと、料金算定方法として不適切というだけでなく、審査の公平性としても不平等だと思う。効率化としてやりたいが、値上げ各社の効率化は10%で認可している。今回、エスカレも飲み込めということになれば、効率化11%とエスカレ2%で計13%となり、著しい効率化を強いられることになる。二つめとして、値上げ各社は、発電・販売を含めた全体の小売料金の中でエスカレを吸収できるが、当社は託送部分のみでエスカレを吸収して効率化することになる。さらに、託送は固定費の塊であり、人件費、シンボリック費用もメルクマールまで落としているのに、これ以上の効率化は困難。これまで値上げしていない会社に対して厳しく、公平に見えて、実は公平ではない。委員の皆様に勘案いただきたい。(北陸電力)
  • 指摘事項4のメーター単価に関して、価格情報が無かったことは震災前から言われてきたこと。そもそもフェアな価格での調達が前提の中で、フェアな価格の考え方が各社若干違うかもしれないので、効率化を求めてきた。以前、電力会社は経営情報だから調達価格を出せないという説明があったが、他社との価格差がわからないようにするためで、これによりどれだけ信頼性を失ったかということを教訓として受け止めてほしい。
  • 資料4のその他経費の合計額について、3社を比較すると北陸電力は前回比プラス、中国電力は前回比マイナス、沖縄電力は前回比プラスになっている。簡単に比較はできないが、なぜ違いが出てきたのか。その中でも北陸電力は、委託費が電力システム改革対応で増えているが、比較すると北陸電力はプラス14億、中国電力はマイナス17億円でこの差の大きさは何か。電力システム改革対応でどれくらいの費用がかかるのか。各社で毎年度の計上の仕方が異なることも確認したい。
    • →委託費の中に電力システム改革の関係費用も入っている。委託費全体額が減った理由は、競争発注を進めてきた結果。システム改革関係費用も同様に競争発注を行ってきた。(中国電力)
    • →競争の拡大も織り込んできたが、その他経費に占めるシステム改革の改修費用の金額が大きいからではないか。(北陸電力)
    • →離島供給費織り込みにより増えている。(沖縄電力)
  • 中国電力の資料6-4P11に対応するものを、他の2社も作っていただきたい。
  • 北陸電力、沖縄電力は、システム関係費に改革の第二段階対応の部分は入っていないか
    • →入っている。まず、スマートメーターのデータ収集システムを今年の7月までに完成しなければならないので仕上げた。28年4月対応も完成させるが、バックアップシステムの開発は28年度以降にずれ込む。(北陸電力)
    • →システム開発は今年度で終わるが、原価算定期間でシステム改修の追加費用は含まれる。(沖縄電力)
    • →全体額を示していただきたい。中国電力によると、競争発注等で吸収できたとのことだがコストに占めるマグニチュードを知りたい。委託費以外についても、できるなら知りたい。
    • →発注方法を事務局として考える。(安念座長)
  • 全体的に総額と託送料金がわかるように示してほしいが、できるのか。
    • →資料6-4P5の託送料金原価の内訳は、同様のものが用意できる。(北陸電力)
    • →概ね5割ではなく、内訳を確認したい。各費目についてはできるかどうか。
    • →各費目について、全体費用とネットワーク費用を示すということか。(安念座長)
    • →直課したものと配賦したもの、配賦したものは基準を教えてほしい。
    • →発注の仕方を相談する。(安念座長)
  • 北陸電力のシステム改革対応のうち、スマメを優先したという説明があったが、もともとの予定されていた計画なのか。
    • →本年度中にバックアップも含めて完了するつもりだったが、制度設計WGにおいて、当初想定していた以上にシステム変更を強いられるような議論が出てきた。来年4月に向けて、今年度間に合わせるものとスマメの収集システムを優先した。結果、バックアップはやむを得ず後回しにした。(北陸電力)
  • 一般論として、原価算定期間前にやるべきものを後ずれしていないか、原価算定期間後にやるべきものを前倒ししていないかチェックしなければならない。システム開発関係では、本来なら27年度中に行われるべき第二段階のものが入っていないかどうか、第三段階について法的分離の前年であるH31年度にピークがくるのが自然であるが、それが前倒しになっていないか確認したい。中国電力の資料6-4のP11のような資料を他の電力についても示してほしい。
  • 開発が大変でずれ込んだものを、今から年度内にやれとは言わないが、そのコストは本来27年度のものであり、28年度からの原価に入れるのは原理的におかしいのではないか。また、制度設計WGの議論により開発がずれ込んだという説明は全く受け入れかねる。当然にやるべきものとして予定していたはず。
    • →法的分離はH32年だが、会社分割の場合は前年に株主総会にかけなければならない。そうすると、その前の年に準備態勢を組み、システム開発も行うよう計画を組んでいる。H31年にピークがくるのが普通だという指摘は違和感がある。また、スマートメーター関係と、全面自由化に向けたものと、二つの大きな開発を並行して行っている。今年度はスマートメーター関係を集中的に行ったので、来年度以降の原価には入れていない。全体をみていただきたい。(北陸電力)
    • →スマートメーターのシステム改修のコストがどれだけか、他社と比較しながら確認する。法的な問題(株主総会)とシステム開発の関係の理屈は全くわからない。また、全般的にシステム改修が他社より早く、第二段階も他社より早くやっていて、第三段階も早くやるというのであれば説得力があるが、そうでないなら、再度説明をしていただきたい。
    • →6月の株主総会で2/3の賛成を取らなければならないので、法的措置を円滑に進めるために、システムを含めた周辺のものを総会までに見通しをたてたいというのは、一般論として理解。(安念座長)
  • 資料4P3燃料費について、効率化を勘案しても、北陸電力と中国電力で諸経費の大きさが違うがなぜか。
    • →諸経費のA重油は、太平洋側の製油所から持ってくるものがある。小さな島なので手配できる輸送船が限られ、北海道経由で京浜から運ぶため輸送単価が高い。その違いと考えられる。(北陸電力)
  • 沖縄電力の資料7-3について、公租公課のうち、固定資産税の増減理由として制度変更の影響とあるが、具体的な中身は何か。
    • →固定資産税は、離島供給にかかるもの。離島発電所、火力の調整力に係る固定資産を織り込んでいる。税制度の変更ではない。(沖縄電力)
  • 離島燃料費について、北陸電力の輸送費が高いが、諸経費についても効率化努力を織り込んでいるかどうか審査してほしい。北陸電力について、A重油単価5万円で諸経費が2万円かかるというのは単純に疑問である。
    • →大阪から陸送も検討したが、今の方法が一番低コストだった。(北陸電力)
  • 離島燃料費について、2000年代後半に原油価格が急上昇し、沖縄電力は短期的収益にインパクトを受けて、色々な企業努力をしたはず。離島についても、A重油からC重油に切り替えて燃料費の低減を図った。他社も同じようにできないのか。北陸はあまりにも小さい発電機のため厳しいかもしれないが、中国はC重油を使用する検討の余地はないのか。
    • →C重油は粘性が高く常に加温が必要で、C重油用タンクも追加で作ることを考えるとA重油を使用したほうがコストが安い。(中国電力)
    • →C重油は比較的大きな宮古島、石垣島、久米島で使用。小さいところはA重油を使わざるを得ない。(沖縄電力)
  • 広告宣伝費について、基本的に販売・発電部門と一定割合で分けるのではなく、全額乗せているのか。そうだとしたらスポンサーとして、電力会社の社名が出ることは、会社の宣伝になるのではないか。理念は正しくみえるが、小売部門のイメージ宣伝にもなり得る。社名を入れるのであれば、按分もありうるのではないか。例えば、新規参入者の事務所にもポスターを貼ることになった場合、社名が入っているとすれば違和感がある。公共目的かどうか考える余地あり。
    • →公益的目的(電気安全、詐欺注意など)のものを分類して抽出し、それをもとに、一定基準に基づいてNW部門の比率をかけて計上している。(中国電力)
  • 電中研の研究開発費について、明らかに火力のようなものが入っているが、火力コストのごくわずかな部分が入っているという意味か。1件ずつ見ていくべき。
  • 普及開発費について、来年4月からの情報提供の在り方は改めて整理をしてほしい。テレビCMが有効な情報提供なのか、行政等を通じて情報が隅々までいきわたる方法論を考えるべきではないか。
    • →メディアの有効性は委員会として考えなければならない課題として承った。ネットワーク以外の宣伝効果を持ちうるものについて、託送料金から差し引くべきという点についても、委員会として議論しなければならない。(安念座長)
  • 中国電力のCMのうち、需要抑制に関するものは、託送料金に乗せるコストなのか。法的分離後を考えると、託送料金にのせて、送配電部門がやるべき仕事と整理していいものか、中身を詰めていかなければならない。
  • 広報について、広域機関が託送料金でやればいいのではないか。地域差もなく、託送料金が透明化する。
  • 需要抑制に関するものについて、これまで一律にだめだとはいわなかった。安定供給から見て、特定地域で省エネ・節電が必要というときはそのコストは入れる議論をしてきた。全国大なら広域機関であるが、特定の地域ということであれば、原理的にだめではないが、本当に必要かどうか需要抑制も含めて考えるべき。
  • 特別の事情があれば必要だが、一般的なものは意味がないという意見。
  • 消耗品に、被服、地図、書籍とあるが、託送でどういう書籍が必要なのか不思議。工学系であれば理解できる。個別に確認すべき。

以上

関連リンク

お問合せ先

電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課

最終更新日:2016年4月1日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. A Rights Reserved.