電気料金審査専門会合(第7回)‐議事要旨
日時
平成27年10月30日(金)15時00分~18時20分
出席者
安念座長、圓尾委員、箕輪委員、秋池委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員、南委員、山内委員
- オブザーバー
- 全国消費者団体連絡会 河野事務局長
- 日本商工会議所 産業政策第2部 市川副部長
- 株式会社F-Power 沖取締役
- 消費者庁消費者調査課 金子課長
- 資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
- 説明者
- 北海道電力株式会社 藤井取締役 常務執行役員
- 東北電力株式会社 田苗常務取締役
- 東京電力株式会社 武部常務執行役 パワーグリッドカンパニー・プレジデント
- 中部電力株式会社 松浦取締役 専務執行役員
- 北陸電力株式会社 高林取締役 常務執行役員
- 関西電力株式会社 土井取締役 常務執行役員
- 中国電力株式会社 松岡常務取締役 流通事業本部長
- 四国電力株式会社 長井常務取締役(総合企画室長)
- 九州電力株式会社 山崎上席執行役員 電力輸送本部長
- 沖縄電力株式会社 島袋代表取締役副社長
主な意見
<調整力コスト>
- 周波数調整機能等を有する発電所のうち、石炭火力や老朽火力など機能を持っているが実際には周波数調整をしていない電源まで7%をかけて固定費の算定に含めるのか。これらは精査して減らすべき。
- →固定費は予備として出力を期待する部分。調整をするかしないかではなく、エリア全体のピーク時に送配電事業者の責任で予備力として確保すべき供給力が7%であり、石炭であろうと石油であろうと確保した分は固定費として算定。何で賄うかは恣意的に決められない。(東京電力)
- →ここでは設備ではなく需要の7%をもつということなので、どの電源が動くかということではない。また、7%という数字は制度設計WGで出されたものであり、現在、広域機関で議論しているが、この場で我々が動かせるものではない。我々は7%のうち、どれだけを送配電で確保すべきか、という論点を議論するものと理解しているがこれでよいか。
- →認識は同じ。「必要予備力の考え方」(7%)これ自体が今日的に妥当かという論点もあった。今回の認可申請においては、広域機関設立後直ちに見直しをしていくことを前提に、7%を基礎とした。(都築課長)
- →どこまでが我々で議論すべきことかは難しい。7%という数字は法令で決まっているものではないが、制度設計WGで出されたもの。数字はそのままは動かさずに議論してはどうか。7%を全てNWで良いかということは論点として当然あり得ることである。(安念座長)
- 固定費と可変費でなぜ違う指標を使うのか理解できていないので、違いについてまず先に教えて欲しい。
- →固定費と可変費の考え方の違いについて、固定費は長期的にNWが持つべき調整力との考え方で、年間計画をもとに確保するものがベース。可変費は短期の変動として、その時点の需要の5%としている。(都築課長)
- →7%の根拠は古い資料があるが、5%や1/2の根拠は何か。
- →5%は、各電力会社の実績、経験に基づくものと承知。何かの指標はない。1/2も同様。(都築課長)
- 7%については、精査が必要なのは間違いない。いま広域機関で議論している。その結果を踏まえて、次の時には正しい数字になるものと考えている。
- 揚水・揚水の持ち替えについて、揚水の場合は止まっているものを瞬時に動かせないので、1機だけだと問題があるという説明はよくわかった。これが本当だとすると、複数動かさなければならない制約の下での一番効率的な割合になっているかは確認が必要。
- LNGと石油の持ち替えについては、かなりの査定が入ることになる。また、LNGと石油の持ち替えで問題が発生するなら、LNGとLNGの持ち替えでも同じ問題が発生するのではないかという話を聞いたが、この点は整理をした上で考えたい。
- 本土連系離島バックアップについては、もっともだと思う反面、我々の判断で勝手に託送料金に乗せていいのかよく分からない。制度設計WGで離島と同じ扱いという話になっていたならよいが、後出しじゃんけんのような形で出てきたものを我々が入れていいのか。離島は本土とつながっていないという形で明確に定義し、特別扱いしたが、これを認めては陸の孤島のようなところまで含めるのかなど収拾が付かなくなる可能性もある。他方で、入れなくていいのかという問題もある。本土とつながないほうがよいとなると連系線をつなぐインセンティブが働かなくなる。今回は託送料金に入れなくとも、次回改定までには議論すべき。また、九州電力の場合はそれなりのコストがあるにも関わらず、なぜ制度設計WGで言ってくれなかったのか。
- →第一義的には法令解釈の問題であるが、字面ですぐに判定できるものではないと思う。託送料金に含んで良いものかどうか、法令で読めるかどうか、個別審査で検討したい。(安念座長)
- →連系線をつなぐか、燃料を運ぶか、どちらが安いのか費用対効果の問題もあるのではないか。
- →コストの問題は託送料金とは関係が無い。発電設備だから託送料金に入れてはいけないのではないか、発電設備だが託送料金に入れてよいものとして限定列挙されているのではないかということ。入れられるべきだとは思うが。
- →こういう形態が安くなるので検討してきた。これを託送ではなく発電設備のままにしておくと、発電・小売側からは無駄な設備としてすぐ廃止となってしまう。(九州電力)
- →三重県の神島については、バックアップとしての機能だけでなくブラックスタートの機能として位置づけている。神島との間には海底ケーブルが1回線しかないため、島にある非常用電源を使うという特殊性がある。(中部電力)
- 資料4スライド14に周波数制御・需給バランス調整とあるが、これらの目的以外に持ち替えを行っている場合があり得るなら除くべきではないか。
- ブラックスタートについて、非常時には広域で融通し合うという役割を広域機関がもっているが、全電源が落ちても他の地域からは融通されないのか。融通されるならブラックスタートは必要なのか。
- →東京電力で全電源が落ちた場合は、連系線でつながっている東北電力もともずれで落ちる。中部電力とは周波数が異なるため、中部電力の設備では立ち上げが出来ない。よって、どこかで点火する種火を持つ必要があり、セーフティーネットとして 分散して複数持っている。(東京電力)
- →防災上の観点からは安心だが、無駄がないかを検討し直すことはできないのか。
- 持ち替え増分費用の割り出しは過去3年の実績から1時間ごとに数字を拾って6つの持ち替えパターンに分けているが、この過去3年間は本当にメリットオーダーが働いた結果なのかという点は委員が判断するのか。
- →建前としては、7社についてメリットオーダーで焚いていることを確認したことになっている。その上で、その精査ができるかどうかは作業レベルの問題。(安念座長)
- 持ち替えの価格について、例えば、石油発電所ごとに単価が異なるというのはどういうことか教えてほしい。
- →ユニットごとにデータを取っているが、8,760時間の3年分について時々刻々の発電実績原価で割り振るかという作業の問題があり、ユニットごとの平均単価で算出した。(東京電力)
- 沖縄電力だけ独自の方法で算定しているが、なぜ沖縄だけが特別なのか分かりづらい。
- →沖縄は小規模独立系統であり、常時並列ユニット台数が少ないため系統容量に対して単機容量の占める割合が大きい。系統の周波数変動を管内の電源で全て受け持たなければならない。このため、原則として全ての並列ユニットをガバナフリー、1台をAFCとしている。この違いから、固定費の議論の5%、7%という考え方は当社にはそぐわないため、それぞれを積み上げる方式をとっている。(沖縄電力)
- →一般論としては、申請内容が法令に合致しているかどうかが要件であるので、各社がすべて同じ考え方である必要は法的にはない。ただし、ここまで違うと苦慮するところ。(安念座長)
- →沖縄電力は安定供給を担保できないという考えのもとで、今回の申請を行ったと理解すればよいか。
- →実績として、いまこのような運用しており、その積み上げで申請した。安定供給については、最大単機容量25万kWの発電所があるが、電源事故、送電事故があった場合には、供給支障がおきているという現状は理解いただきたい。(沖縄電力)
- 事務局資料4スライド18、19について、たとえばスライド18では、単価の高い順にA①、A②、B③までが調整運転で、単価の安いB②がフル運転になっている。この場合、調整運転になっていないB②のユニットの単価まで、増分費用の計算をする単価に含まれる理由はどのように解釈をしたらいいのか。
- →調整運転のA①②、B①、この三つの単価をベースに差分を計算するべき、フル運転のB②は関係ないのにB①②の平均とA①②の平均を比較して差分をとるのはどういうことなのかという指摘と理解。実際の動きとしては、一つの電源だけが必ず部分負荷ということは生じていない。それぞれの時間で様々な動きがある中ではどういう原因かを見極められない。様々なユニットをどう判断するのか、それを閾値の考え方として作ろうとする中で、今回、はこういう動き方をしていたら揚水と揚水、これだったら揚水と石油、これをモデルとして決めて、その中でどのグループに入るかを計算している。したがって複数のユニットで何らかの不経済運転が発生している中で割り切って計算している。(東京電力)
- 本土連系離島について、認められないなら撤去という発言があったが、この専門会合のせいにされても困る。必要ならなぜ制度設計WGで、もっと早く言ってくれなかったのか。
- 沖縄電力について、連系線がつながっていないことは明らかな特殊性。7%は連系線がつながっているという前提での議論であるから、機械的に7%を適用するのはどうかということは説明されずとも分かる。一方で、系統規模が小さいという理由については、そうすると規模の大きい東京電力はこんなにいらないのではないかという議論になる。これは長期的には重要な点で、現在、広域機関で議論されている。また、系統規模に対してこの発電機であるから動かさなければならないという説明については、この系統規模で大きな単機をどうして入れるのかという素朴な疑問もある。確かに、小さな発電機をたくさん入れればコストが高くなるが、系統に負担のかかる大きい発電機を入れて発電側のコストを安くすることはことが果たして許されるのか。大きい発電機を入れたことが原因なら、託送料金にいれるのが果たして適切か検討する必要がある。
- →存在する設備を全て前提にしなければならない理屈は無く、必要な範囲での設備ということ。(安念座長)
- 九州電力と中部電力の離島について、法令に基づいて判断という点はそのとおり。考え方として、海底ケーブルがつながっている以上、離島と整理しないほうがよいのではないか。そうでなければ、半島の先なども入れなければならない。北海道は、北本連系線がなかったときは大きな予備力をもっていたが連系線ができたことでコストダウンができた。いまの断面ならコストにいれるべきではないと思っている。
- 持ち替えの判定要件について、部分負荷運転と部分負荷運転ならあてはめるという考え方なら、調整力のためとは言えないものまで含まれていると考えるべき。細かいものは個別審査で精査し、不必要なものがはじかれているかどうか確認しなければならない。
- →部分負荷をどう定義するか自体の判断も関わってくる。(安念座長)
- 沖縄電力について、牧港火力が需要地に近いのでマストランだという説明であるが、そうだとしても全てを託送料金に入れるのか。NWの大きさとバランスで割合を考える必要がある。
- ある新電力から質問があった。来年度から計画値同時同量が始まるが、7%の費用は新電力も負担するのだから、7%は変動範囲として許してもらえるのか。
- →新電力の計画値同時同量のために予備力を持つとすると目的が別になる。これは偶発的需給変動対応といった不可抗力のためのバックアップである(東京電力)
- →7%までなら良いということではなくて、許してもらえる範囲が7%まであるかどうか。
- →今の発言は聞き逃せない。あまりにも無責任なのではないか。インバランス料金はルールで決まっており、7%までならまけてあげるということは勝手にやってはいけない。あり得るとすれば供給力確保義務で、これは小売登録の段階で課されており、本当に満たしているか事後的に確認されるもの。7%の固定費が認められるなら、恒常的に7%程度のインバランスを出し続けても供給力確保義務を満たしたと思ってもらえるのかということだとしたら、これはとんでもない誤解。そういう運用をするつもりなら、制度設計でちゃんと議論する必要がある。仮にこのような意見の人がたくさんいるなら、それを前提に制度設計しなければならない。
- 沖縄電力の申請内容の頭の整理として、積み上げで計算している調整力の必要量計409MWは、可変費の年間需要×7%の調整力と理論的には同じか。一体何を計算しているのか。
- →周波数制御、需要見積誤差対応、電源脱落対応の必要量を積み上げている。(沖縄電力)
- →7%の考え方とは違うようだ。(安念座長)
- 沖縄電力の資料5-10スライド5について、「調整力を確保するために必要な発電容量の割合」を算出するのに認可出力の3年平均(1,809MW)を分母に持ってきた理由は何か。沖縄電力だけしか使っていない指標だが、積み上げなのに、なぜ認可出力を分母にしたのか。
- →原則、全ユニットがガバナフリー運転をしているため、沖縄の火力発電所の全出力を使っている。(沖縄電力)
- →沖縄電力については、9社と異なる申請内容のため、今の質問も含めて発注を行う。(安念座長)
<発電・送配電の設備区分見直し>
- 例えばA市場(規制分野)とB市場(自由化分野)があったとする。A市場単独では100のコスト、B市場単独では100のコストがかかるが、兼営しているので全体として180のコストがかかるとする。この180のコストをどう割り振るのが公平かという考え方として、一つは、もし規制部門だけやったとすれば100のコストがかかるので 兼営の利益20を全て自由化部門に寄せて、自由化部門のコストを80とするもの。反対は、規制部門のコストを80、自由化部門のコストを100と考えるもの。これがイコールフッティングの観点では一番フェアなやり方でもある。新規参入者は兼営できないので、本来は範囲の経済性の利益は全て規制部門によせて、自由化部門はスタンドアローンでやった場合にどれくらいのコストになるか考えるのが、本当のイコールフッティングだと考える。その真ん中として、20の利益を色々なコストドライバーを使って両方に割り振る。他の託送費用も大半はこのような考え方で割り振られている。イコールフッティングの考え方からすると、範囲の経済性の半分を兼営している一般電気事業者がとっているので、相当有利な形になっている。その上で、今回の水力発電について、もし水力発電所がなかったとしたらかかるコストを送配電で分けるということは、先程の分類にあてはめると、すべての利益を自由化範囲に寄せるということ。このような発想はそもそもの哲学としておかしいということを電力会社はきちんと認識すべき。
<小売・配電の業務区分見直し>
- 契約受付コストについて、結果論的に中部電力が0.11円増、関西電力が0.03円増となっている。これまで小売に整理していたものを託送に整理しているので絶対額として逆算すると中部電力は130数億円、関西電力は40数億円の受付コストになりかなりの差がある。ビジネス規模がそれほど違うわけではないが、3倍の違いが出る理由はあるのか。
- 中部電力資料7-4スライド1について、区分の仕方が、事務局が示している標準区分と違うがこれは認めるのか。標準にあわせるのか。
- →これは我々が決めること。個社事情を説明できるなら、認可要件にかかることにはならない。(安念座長)
- 停電周知が全てNWに入っているが、消費者側からすれば、停電した時はまず小売業者に知らせることになっている。また発電所のトラブルなど、原因によってはNWだけの責任とは言えないのではないか。
- →これは停電周知のコストであり、直接には停電そのものの原因除去コストではない、ということ。(安念座長)
以上
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最終更新日:2016年4月1日