電気料金審査専門会合(第8回)‐議事要旨
日時
平成27年11月6日(金)15時30分~17時30分
出席者
安念座長、圓尾委員、箕輪委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員、南委員、山内委員
- オブザーバー
- 株式会社F-Power 沖取締役
- 消費者庁消費者調査課 金子課長
- 資源エネルギー庁電力市場整備室 小川室長
- 説明者
- 北海道電力株式会社 藤井取締役 常務執行役員
- 東北電力株式会社 田苗常務取締役
- 東京電力株式会社 武部常務執行役 パワーグリッドカンパニー・プレジデント
- 中部電力株式会社 松浦取締役 専務執行役員
- 北陸電力株式会社 高林取締役 常務執行役員
- 関西電力株式会社 土井取締役 常務執行役員
- 中国電力株式会社 松岡常務取締役 流通事業本部長
- 四国電力株式会社 長井常務取締役(総合企画室長)
- 九州電力株式会社 山崎上席執行役員 電力輸送本部長
- 沖縄電力株式会社 仲里常務取締役
主な意見
<系統連系技術要件>
- 25万kW以上の購入他社火力では、周波数調整機能なしが11台、ありが3台となっている。11台は具備していないがよいのか。
- →製鉄所等の共同火力のため周波数調整は外して運転することをあらかじめ調整の上で機能を付けていない。今後、同規模の設備を設置する場合には、基本的な性能として機能を付けていただくようお願いしている。
- →11台を合計すると385.3万kWあるが、このままでも大勢に影響ないということか。(安念座長)
- →自社を含めても合計で7%弱なので、今後もこの範囲であれば問題無い。(東京電力)
- →既存分については、全体の中で吸収できるという織り込みでやっていると理解。(安念座長)
- 以前の説明では25万kW以上の既設の工事費は数百万円だったが、制御のための通信方式はどうなっているのか。
- →これとは別に通信回線の負担がかかる。この負担部分は広域機関の検討で決めていくものとなっている。(東京電力)
- →新電力数社に聞くと、機能はあっても実際に動かす際には、通信回線や設定の変更で数千万円かかるそうだ。費用負担は今後相談できればありがたい。
- →東京電力に限らず各社も分社すれば同じ問題が生じてくる。長期的視野で議論していただければよい。(安念座長)
<需要地近接性評価割引>
- 論点(ア)は異論なく、地域を含めて約款外にはしないということ。
- 論点(イ)については、大きな潮流を考えておらず基幹送電線では問題があるのではないかと指摘されているにも関わらず、適切な反論無く各社ともA案が良いと繰り返し回答している。B、C,D案は説明しにくい点はあるが、暫定的なもので、全ての案に問題があり理想的ではないことは認識しているが、現時点ではD案が一番合理的な案と考えている。申請されたA案は大きな潮流を無視したもので、明らかに問題のある案に変更するならば、今までのものを継続するD案がよい。割引単価に関しては変更することに一定の合理性がある。割引率が低くなり、今まで割引を受けてきた人達の既得権益を保護するわけではないが、それ以外は今まで通り。B案、C案は託送料金単価への影響が大きい。D案は、イコールフッティングの問題があるとの指摘があったが、これまで総括原価と地域独占のもとで一般電気事業者が自由に電源を建て、その結果、大きな潮流が出来た。新規参入者は適地を全て押さえられた上で入るのだからそこまでおかしくはない。未来永劫に続けるならば問題があるが、暫定的に引き継いでしばらく続けるものとして考えた場合、今の制度を基準にすればD案は悪くはない。なお、現在の割引対象については既得権益ではなく、将来の抜本的な見直しにおいては巻き取られるものである。
- 論点(ウ)について、今回の説明で1/2が著しくおかしくないことは納得した。ただし、もともとの割引額については、特高接続電源は基幹系統のロスだけしか考えないのか、特高接続電源は特高全部の潮流改善効果を入れるのはおかしいが一部あるのではないか、という疑問がある。建設費については、なぜ基幹送電線にしか入っていないのか。仮に高圧でつなぐ場合でも特高での設備投資は減らせないのであれば、いわば特高固有の建設費だが、これがもともとの高圧託送費にかなり入っている。つまり、上位系統の建設費が下位系統に入っているのではないか。こうした根本的な問題は、長期的に見直していかなければはならない。抜本的な見直しがいつかは明言できないが、抵抗する人が不利になる料金体系を暫定的に置くのは悪くはない。
- 大きな潮流改善を目指して、望ましいところに電源設置を促進することが目的。突然に制度が変わり適用対象外になるようなことがあればインセンティブにはならない。抜本見直しの中では暫定的なものにならざるをえないが、安易に変更することは避けたほうがよい。論点(イ)は、結論としてはD案を採用すべきと考える。料金は見直すが、地域についてはこれまでの適用地域に配慮すべき。また、これまでの一貫体制の中で建てようとしても建てられなかった地域に電源を建設し潮流改善に貢献する事業者に対しては、一般電気事業者はリスペクトすべき。もう少し、全体がどうあるべきか、ということを同じ電気事業者として考えて欲しい。
- 論点(エ)は、案Bが適切ではないか。5年か7年かは何とも言いがたいが5年くらいが適当か。第3者機関に依頼することは大げさである。
- 論点(ア)は異論なし。論点(エ)はB+C案を支持。原則として一定期間を定めるが、各社から申請があった場合には見直しを検討する、というものがよい。
- 論点(ウ)は、1/2でいいのではないか。
- 論点(イ)はイコールフッティングになっていないのではないかと思っていたが、先ほどの議論で懸念が払拭できたので案Dでよい。
- 法令の話で確認したいが、例えば東京電力が四国電力管内に電源を建てた場合は適用になるのか。
- →他社の地域に電源を作って、他社のエリアで売る場合は、一般電気事業としての事業ではない。(都築課長)
- →中部電力管内の対象エリアで、東京電力が電源をつくり、中部電力管内で売るときはどうか。
- →適用となる。(都築課長)
- 論点(イ)について、大きな潮流改善のためには現行の割引制度は重要。D案でもよいが、新たに建設される電源に適用されないなら、インセンティブにはならないのではないか。
- →それは既に潮流改善効果がないということではないか。(安念座長)
- →将来的に次に大きな改善効果が生まれるインセンティブにはならないのか。個人的には、対象にならないのはおかしいと思う。
- 割引単価については、費用対効果の有無をどうみるか。指標はないのか。
- →割引単価の算定方法がそれを示している。費用対効果がないものは、割引単価が低くなる。
- 論点(ウ)はよくわからないが、1/2でよい。論点(エ)は、いずれの案も代替的なものではなく、長期的に目的にかなったやり方をめざすのがよいのではないか。
- 論点(ア)は同意。論点(イ)は、制度の安定性に重きをおくと、既存の電源が対象からはずれるのはどうかと思う。個人的には、B案とD案の中間で、現行の割引率でもよいと思っているが、D案でもよい。論点(ウ)は、確たる反論がないならよい。論点(エ)は予見可能性を重視しているのでB案がよい。
- 論点(ア)は異論なし。論点(イ)は、D案では新しい電源が対象にならない点が気になるが、定期的な見直しで担保されるならよい。論点(ウ)は決めの問題。論点(エ)は、5~7年で見直しするものの、投資インセンティブの目的にかなった申請があれば見直しすべきという意見。よってB案+C案を支持。
- 電力会社に厳しいご意見。制度設計WGで議論した内容踏まえて率直にやった結果。また、暫定的なものという話があったが、今後新設される電源との公平性、既存の一般電気事業者の電源との公正性の観点から、有期限のものとしていただきたい。(関西電力)
- 制度設計WGの趣旨を踏まえという説明に関して、一般電気事業者が経過措置案を出さなかったのは正しかったが、WGの議論をほぼ完全に無視した案を出してきた。地域をきめ細かく見るという議論は、地産地消に有効的なものをやって、高圧や低圧などに割引の範囲を広げる際の話で、基幹系の大きな流れの話ではないと認識。経過措置については確かにそのとおりかもしれないが、大きな流れに関しては、もともと一般電気事業者から地産地消をするなら今までのような割引は無しにしようという案が出てきて否定されている。実質的に今まで割引を受けてきたものを除くというA案(申請)しか出てこなかったから、今回、A案よりマシだということでD案が提示されている。
- 制度設計WGで地域を細かく分けるべきだと言った趣旨は、今般、託送が低圧に拡大するので低圧から低圧への託送料金を考えるにあたっては、全県でみるのではなく細かくみるべきというもの。制度設計WGの最後の回でも、大きな潮流と分けて考えるべきと発言した。電力の説明は理解できない。
- 仮にD案でまとまるならば、基幹系統は何かという定義を、大きな潮流改善という趣旨を踏まえて約款に書いていただきたい。
- →広域機関の議論では、基本的には上位2電圧。ただし、費用負担ガイドラインでは、事情により3電圧目も対象との記載がある。今回の申請では2電圧としている。(東京電力)
- 割引金額がどのように小売料金へ影響するのかわからない。論点(イ)については、割引対象地域が拡大するのであればD案を支持。
- →小売料金の構成を託送料金からは説明出来ないのではないか。(安念座長)
- 割引総額が異なるので影響は違うはず。割引総額が大きければ、何らかの形で次に出来るシステムが変わってくるはずだから、その影響が知りたい。もしかしたら割引総額が大きい方が良いのかもしれない。
- →託送総原価が決まっているので、割引総額が大きければ、それをどこかで埋めなければならない。(安念座長)
- →そのように、どこかで費用を埋め合わせた結果、最終的に損をするか得をするのかということが知りたい。先ほど費用対効果を言ったのはそういうこと。難しいとは思うが。
- 結論としては以下のとおり。
- 論点(ア):約款の中に入れることは了解。対象地域を変えたい場合は、その部分だけを変更する運用をとることを、文書化すべく検討する。
- 論点(イ):基本的にD案だが個別審査で検討する。政策的判断をしているので、事業者からの反論は当然ある。
- 論点(ウ):1/2について実測はできないが、そうおかしくないところまでは議論できたので、これでよいのではないか。
- 論点(エ):「基本は定時の見直し」+「なんらかの随時見直し」の方向で検討する。制度問題でありこの専門会合で決めることではないので、提案・建議として査定方針案に書きたい。地域の見直しの問題も、既得権・既存電源をいつまでも対象とするということではなく議論が必要。(安念座長)
以上
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電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク事業監視課
最終更新日:2016年4月1日