料金審査専門会合(第14回)‐議事要旨
日時
平成28年8月9日(水)10時00分~12時00分
出席者
安念座長、圓尾委員、箕輪委員、秋池委員、梶川委員、辰巳委員、松村委員
- オブザーバー
- 日本商工会議所産業政策第二部 市川副部長
- 東京電力エナジーパートナー株式会社 佐藤常務取締役
- 消費者庁消費者調査課 澤井課長
- 資源エネルギー庁ガス市場整備室 藤本室長
- 説明者
- 東京ガス株式会社 救仁郷副社長
- 東邦ガス株式会社 中村副社長
- 大阪ガス株式会社 瀬戸口副社長
主な意見
- ガスの審査ではかなりの費目が、ヤードスティック査定(以降、YS査定)になってしまっている。電気の託送料金では細かい点まで査定し、その中で相互の説明の矛盾を発見することもあった。YS査定では個別査定にもマイナスの影響が出てしまうのではないか。
- 業界平均よりいい数値にすればよいとすると、甘い査定になってしまう。業界全体で費用が上積みされ、査定できないということが起こらないよう、情報公開をしっかり行うべき。
- 常識的に考えて、電気の託送料金で査定された相談役・顧問料をYS査定費用に乗せているわけがない。3社についてはそんなことはしていないと宣言すること。
- →顧問料・相談役の費用は算入してはいけない費用ではない、という整理。YS査定については、ガス小委でも議論になったが、最終的な整理は、託送料金は審査基準に則っており、特定の事業者のみ厳格に査定することになれば、託送料金の公平性の維持が困難になってしまうことから、このような形になった。(藤本室長)
- 制度上、入れられることはわかっている。個別査定であれば当然査定されるものをYS査定では平気で入れているのかを確認する趣旨である。
- 需要開拓費は、電気にはない特異な制度。透明性が高くないと納得が得られないため、重点的な査定が重要。透明性に欠ける場合は、託送料金から全面的に控除するなどの対応策を含めて検討していくべき。
- →パイプラインの整備が不十分であり、自由化後も導管整備を進めるための取組の一つが需要開拓費である。しかしながら、費用を使うのが導管事業者のみではフェアではないため、公平性の確保のため入札や実際に需要を取ってきた人に支払うなどの工夫をしている。(藤本室長)
- →会計上の問題だけではなく、誘導政策としての性格もあるということか。公平透明な制度になるようチェックしていくこと必要。(安念座長)
- 天然ガスのコストは通常は経過措置料金に含まれる。振替供給コストなどに入っている場合には、電気小売料金の値上げ審査と同様の査定をすべき。
- 基本料金・従量料金の割合が各社で異なる。大阪ガスは固定費の大半を基本料金、東京ガスは従量料金で回収している。東邦ガスはその中間。理論的に考えると大阪ガスが自然。他社はしっかり説明してほしい。
- 東京ガスが割引料金を設定する際の考え方はなにか。従量料金が高く、需要が増えれば託送回収が増えるような、いびつな料金体系としたうえで、こうした高い料金を補正するための割引料金にしているのではないのか。
- 東邦ガスが現行原価を過去3年の数値で出している。直近の原価にすべきではないか。
- →前回の料金改定は原価算定期間を3年としている。(東邦ガス)
- 大阪ガスの平成23~27年の競争入札比率の伸びが小さすぎるのではないか。電気でも散々議論があった項目なのに、最終目標も低すぎる。
- YS査定は制度的には結論が出ているが、3社を全体平均でなぜ認めるのか
- 東京ガスはこれまでの金額から上がっている。最大限の効率化と言っているがなぜ下がらないのか。原価洗い替え時に比べて、今回はどこを効率化したかわかるように説明してほしい。
- →YS査定は計算方法であるため、個別の項目が正当であるかは別問題。公表資料と、我々が守秘義務付きで確認する資料の範囲は異なるため、今後、大いに注意して進めていくべき。経営効率化に関しては、電気料金審査から続いている最大の問題である。大きな関心を持って審査していくのは当然のこと。(安念座長)
- YS査定は腑に落ちないが、前提条件であるから仕方がない。
- 基準単価算定基準に関しては審査の対象になるのか。例えば、3社を比較したときに、消耗品費の占める割合は違う。費目分類、部門配賦の社会全体からみた信頼性は今後も考えていくことが必要。個別費目を査定できないが、基準単価の基礎に関しては確認していく必要があるのではないか。
- →YS査定の場合、審査会合としては個別の構成項目を審査することは不可能である。一方、審査の信頼性に関しては責任とらないといけない。事務局とも相談して、専門会合としてどこまで責任を取るのか考える必要がある。(安念座長)
- 電力で審査していた細かな項目がYS査定になっている。仕方がないが残念である。YS査定は比較的緩いのもあわせて平均値を算出するので、基準が将来的に下がっていく仕組みをつくることが大切。一律で公平であることも大切だが、規模の経済を考えていくことも必要ではないか。専門会合の中でできることを考えていきたい。
- 需要調査・開拓費、修繕費に関して、東京ガスは申請の数字が増えているが、他の2社は増えていない。各社とも大都市を抱えており、高度経済成長期から現在に至る背景に違いは少ないはずだが、なぜ差が出ているのか。各社のデータ開示のレベルも異なる。資料のレベルを揃えるべき。
- →次回以降、事務局で整理いただきたい。(安念座長)
- 託送料金の単価表がわかりにくい。イメージをつかめる資料にしてほしい。
- →事務局で工夫していただきたい。(安念座長)
- YS査定に関して、事業者の公平性を考えてという説明は納得ができない。事業者間の公平性は大事だが、消費者・国民の利益とした視点はどこにいったのか。常識的に考えればシェアの多い3社はきちっと個別査定するべきではないのか。大手の個別査定を基礎にして、その他の事業者へ比較査定を展開していく方法が一番なのではないか。
- 高経年化対策の年度毎の詳しい情報を出してほしい。平成28年以降、10年間をかけて、どのようなペースで行っているのか。年度によって変動があったのではないか。算定期間の3年間の位置づけは何か。
- →高経年化対策は、電気の審査でも問題になった。3社で比較できる資料を作ること。(安念座長)
- 基本的に、右肩上がりで需要が伸びているはずだが、算定期間内のガス需要想定が伸びていないのはなぜか。
- ガス小売全面自由化に際して行われたルール変更が、どのような形で託送料金や託送約款に反映されているか。各社の説明資料には、詳細な内訳が示されていない。現行原価との比較や差異理由について、比較査定対象を含め、託送料金原価内訳項目ごとに、制度変更によるものとそうでないものに分けて、詳細説明していただきたい。
- 直近の実績と今回申請原価が大きく乖離し増加している場合は、実質値上げではないのか。直近の実績との乖離についても確認いただきたい。
- 例えば、東京ガスが申請した託送料金は、前回申請原価との単純比較で1m3あたり1.6円の値上げとなっており、新規参入者は大変厳しい水準と受け止めている。託送料金が高いと、新規参入が難しくなり、自由化の目的である「お客さま選択肢の拡大」は実現されない。
- 東京ガスは、家庭用メニュー以外は、今回から全て季節別料金となったが変更した理由を説明してほしい。また、東邦ガスは中圧料金が一本化されるなど、需要家によっては託送料金が上昇するケースがあるのではないか。
- 東京ガスでコージェネレーション割引が設定されている一方、これまで同様のメニューを設定していた大阪ガスは、特定の消費機器に紐付けず、使用実態に合わせた料金メニューに移行している。両社の考えの違いを確認した上で、特定の消費機器のみ託送料金を優遇するメニューの妥当性について検討いただきたい。
- 契約期間中の増量の際に補償料が発生するなど、現状より託送条件が厳しくなった点がある。需要家の選択肢拡大という自由化の主目的に照らして疑問があるので議論いただきたい。
- →いいご指摘である。次回以降、紙でご意見をいただきたい。(安念座長)
- YS査定について、実際は何が入っているのか、個別査定ではないものの、見える化をするべき。
- 経営効率化について、3社を比べると、これまでの効率化の実績を超えたところと、そこまでいかないところがあり、差が出ている。
- 高経年設備が何年持つのか、知識がないと判断が厳しい。直近の実績から増減があるので、そもそも各社前提が違うのではないのか。個社事情も含めてしっかり説明してほしい。
- →来年4月の自由化までに127社を審査する必要があり、時間がないため、ワンショットでYS査定を行う。今後は電気と同様に個別査定を行う。また、127社全てが同一グループではない。規模・地域性でグループ分けしている。大手9社は第一グループであり、本日の3社もこの中で比較していくことになっている。(藤本室長)
- 国力の源泉である産業活力や、国民の安定した社会生活のためにはインフラ整備は大切と認識。導管網の整備促進、ガスシステム改革、社会インフラを効率的に行うことが重要になってくる。
- 高経年化等の工事により、地域の中小企業への仕事や雇用が発生するが、適正価格で発注し、地域の中核企業としての役割を果たしていただきたい。
- 供給約款の内容については、新規参入者からもぜひ意見を出していただきたい。圧力の低いところから高いところへ託送を禁止していることなどはおかしい。不満のある約款があれば教えてほしい。
- YS査定について、今後値上げ申請がない場合には、現在のYS査定での託送料金が永遠に続くかもしれない。本来入れるべきでないものを入れてしまった場合の損出の大きさを考えれば、変なコストが入らない様に注意しなければならない。
- 経産局の審査状況の報告はどうするのか。専門会合の委員として、どの程度、注意する必要があるか。
- →専門会合での審査を通じて出てきた論点を各局に共有する。その後、地方局における審査の結果を集計し、全体像としてまとめてここに報告する。(恒藤課長)
以上
関連リンク
お問合せ先
電力・ガス取引監視等委員会事務局 ネットワーク監視課
最終更新日:2016年8月24日