電力・ガス取引監視等委員会
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制度設計専門会合(第5回)‐議事要旨

日時

平成28年3月16日(水曜日)09時00分~11時30分

出席者

稲垣座長、林委員、圓尾委員、安藤委員、岩船委員、大橋委員、新川委員、辰巳委員、松村委員

オブザーバー等
児玉SBパワー株式会社取締役COO、秋山株式会社エネット経営企画部長、亀田太陽光発電協会事務局長、星電源開発株式会社審議役、松岡東京電力カスタマーサービス・カンパニー運用部長、瀧本中国電力株式会社執行役員、能見九州電力執行役員、野田関西電力株式会社執行役員、前田中部電力株式会社執行役員、井堀公正取引委員会調整課課長補佐、澤井消費者庁消費者調査課長、小川資源エネルギー庁電力市場整備室長

主な意見

①小売全面自由化に向けた状況について

  • 消費者からスマートメーターに関する質問を受けることが多いので、スマートメーターに関する説明をもっと丁寧に行うべき。
  • 消費者庁としても、4月の自由化に向けた消費者の保護対策を行っている。
  • スマートメーターを取り付けると電気料金が半額になるというような詐欺を防ぐのは重要であるが、HEMSと連動したメーターを用いて電気料金を安くするというビジネスモデルの宣伝方法については、これから別途考える必要があるのではないか。
    •  →小売営業に関する不正事案の監視の厳格化とスマートメーターを通じた社会の構築という2点について、将来の課題の示唆を頂いたと思う。(稲垣座長)
  • 4月の全面自由化に向けて、複数の問合せ先が存在するようであるが、どこに問い合わせても同じ回答が得られるのか。
    • →消費者庁とは回答の方針を共有しており、どこの窓口に問い合わせても同様の回答が得られるようにしている。(新川課長)
  • 小売電気事業者を選ぶにあたり、ウェブを使える環境にない消費者は、どうやって比較・検討すればよいのか。
  • 消費者の選択の自由を実質的に確保するために、事業者側ではどのような取組みを行っているのか。また、事業者は、コンプライアンスを商品価値としてみることについては、どのように考えているのか。(稲垣座長)
    • →当社では、検針時のチラシの配付や電話及び店頭での対応を通じて、消費者にメニューの説明を行っている。
      消費者の方にメニューを選択していただくときに、コンプライアンスの点も考慮されるのではないかと考えている。
    • →当社も、店頭や電話での説明を行っている。
      コンプライアンスについては、小売営業に関するガイドラインを遵守し、問題となる事例を瞬時に共有できる環境を整えている。
  •  FITの環境価値についてミスリードする表現があるような気がしている。需要家が正確に理解できるような広報をしてもらいたい。
    • →既に国としての取組みはなされているので、皆で手を携えて適切な環境を作り、運用するということだと思う。今後も、小売電気事業の推移を見守りたい。(稲垣座長)

②情報公開サイトについて

 (資料に基づき事務局から内容を報告)

③卸電力市場活性化に係る事業者ヒアリングについて

  • 3社の発表をみると、限界費用ベースでの入札、事業者の創意工夫や自主性といった言葉が共通しているが、事前に協議を行ったのか。(稲垣座長)
  • 事業者の創意工夫や自主性の中身を具体的に教えてほしい。
    • →事前に協議はしていない。 自主的な取組みの結果、入札量・約定量ともに増加しており、今後も取組みを継続し、課題は改善していきたいと考えている。制度的な形で制約を課すことは、できれば避けてほしい。
      市場参加者として、容量メカニズムを含め、電源の固定費をカバーできる制度の検討を希望する。
    • →これまで需給が厳しい中で、自主的取組みを継続し、それなりの成果はあげている。自主の反対は強制であると思うが、強制ではなく、事業者としての工夫の余地を残してほしいということ。
  • 自主の反対が強制というのは、本当にそうか。協調や協力もあるのではないか。
    仮に、自主の反対が強制とするなら、自主的取組みで入札量等が伸びたので強制はしないでほしいというのは、「物を言うな」と同じに聞こえる。ここは制度設計専門会合の場なので、具体的な課題とそれに対する提案があってもいいのではないか。(稲垣座長)
  •  卸市場の活性化は、小売の全面自由化に不可欠であり、一般電気事業者が余力を出すのは重要なこと。他方で、入札の価格については、経済合理性を考えると、必ずしも限界費用ベースとは限らないかもしれない。一般電気事業者からみて、自発的に取引できる経済合理的な市場を作るためには、どうすればよいのか。
  • 完全競争的な環境であれば、システム価格で約定するスポット市場において、限界費用で入札するというのは経済合理的なこと。
    電源開発の電源の切出しに関し、九州電力は、明確に拒否していると感じる。以前は原発の停止による需給逼迫を理由にしていたが、原発が稼動しても切り出さないと述べている。もはや自主的取組みでは、無理だということである。
    太陽光の影響により、スポット市場での取引が1時間前市場に流れることは望ましくなく、予想の誤差を修正するために1時間前市場を活用すべき。
    買いブロックを増やすというのは合理的な提案と思うが、なぜ今さらこのような話が出てくるのか、不思議である。
    予備力の取り方については、パターン1に統一することが望ましい。パターン3の3社については、事務局において重点的にヒアリングをすべき。
  • 自主の反対が強制というのは、語彙不足であった。協調の精神で、事業者として協力していきたい。
    買いブロックの増加に関しては、太陽光の増加により、点灯帯だけユニットを立ち上げることを回避するという新たなニーズが生まれたということもある。
  • 太陽光に関して、以前に想定していた状況と比べて、現在の状況は本当にそんなに深刻なのか。
  • 電源開発の電源の切出しについて、公益的な意味を理解してはいるので、幅広く協議したい。決して今後切り出しをしないということではない。
  • 財務状況が厳しいことを理由に電源開発の電源の切出しを拒むのであれば、永遠に切り出されないことになる。一般電気事業者と電源開発の契約は、従来法律上の特別な立場にあった者同士の契約であるから、今年の4月で状況が変わることを踏まえ、きちんと考え直さなくてはいけない。
    東京電力に質問がある。今回の資料には、余力の全量を取引所に投入すると明示的には書いていないが、全量を投入しない場合があるのか。また、内部的に、取引所の活用による経済メリットの目標額は設定しているのか。仮に目標額があるとすると、今回の資料に記載の約100億キロワットや約200億キロワットという数値は、東京電力としてどのような意味を持つのか。
  • 限界費用ベースでの投入というのは、現状が最大限なのか。最大限でないとすれば、その課題や克服方法はどう考えているのか。
  • 基本的に、可能な限り取引所に投入している。100億ワット程度を投入することを目標として努力した結果、約200億キロワットの投入ができた。ただ、ブロックの数や高さという制約があるため、100パーセントの余剰を投入できているわけではない。この課題に対しては、ブロックを敢えて小さくし、買い手が買いやすい時間に出すことを考えている。
    目標量とは別に、取引所取引による経済的な差替えを行う以上、何らかの評価が必要なので、年間での経済メリットの目標を内部的に設定している。
  • 卸市場の活性化は以前から長く議論されてきたことであるが、自主的取組みを表明して以降、急激に投入量が増えたのはなぜなのか。なぜそれまではできなかったのか。今回、東京電力は、ブロックを小さくすることで更に活性化に寄与するとのことであるが、他に自主的に取り組めることはないのか。
  • 4月から1時間前市場という新たな市場が始まるので、まずはその制度にきちんと対応することを考えたい。
    系統の周波数安定のための取引についても課題があるので、その点をより改善していきたい。
  • いつまでもこのような議論をしていても実益がない。本当に実質的にタマを増やしたいのであれば、ジャンプするようなことを考えなくてはいけない。4月から小売の全面自由化が始まることを考えると、遅すぎるくらいである。事務局は、検討をもっと加速させることを検討すべき。
  • 東京電力と中国電力は、自主的取組みにより約定量が伸びたことについて、具体的な量ではなく、比率により表現しているが。細かい数値を出したくない理由があるのか。
    • →公開の場なので具体的な数値は伏せたが、委員限りであれば具体的な数値を示すことは可能である。
  • 卸市場の活性化は大事な大枠の論点である。関係者が協調して進めていかなくてはならない。(稲垣座長)

④今後の託送料金制度の在り方について

  • 連系線利用ルールなど広域的運営推進機関が検討している事項についても、委員の中で情報共有し、現状を認識した上で今後の課題を検討したい。
    送電ロスについては、太陽光発電が増えるとこれまでのような上位系統から下位系統への電気の流れが変わることも踏まえ検討する必要がある。
    連系線利用について、調整力のための優先利用を認めるかなどの論点があるが、様々な問題が複雑にからみあっているので整理して議論が必要。
    ネガワットは2017年に市場創設、2020年にはリアルタイム市場を創設する。送配電事業者は、今後、早い調整力、遅い調整力が出てくるので、調整力のレベルを2つにわけて調達や要件などを示す必要がある。
  • 情報開示に関する提案は非常に重要。どういう情報がほしいか具体的に出していってほしい。情報がオープンになった上で、いろいろなプレーヤーが協力して、経済合理性の高い電力システムを形成していくべき。
    そもそも託送料金の固定費・可変費が一緒に議論されている点は問題。潮流が改善されても設備が減らなければ託送料金は下がらない。潮流改善効果があることはよいが、であれば、託送料金の固定費・可変費を実態にあったものにした上で、割引を行うべきではないか。
    また、分散型電源からの供給で確かに送電ロスは減るが、分散型電源が太陽光発電の場合は、自然変動電源のためkWは減らせないのではないか。逆潮流が発生し設備増強が必要となる可能性もある。今後は費用の安い太陽光などでkWhが大量に入ってくるので、kWのアクセスチャージも考えるべき。そうしなければ非効率な系統構成になる。
    これからは、需要が増えないなかで競争が発生して、分散型電源が増え、経済合理性の低い設備が増える可能性もある。それを抑えて行く必要があり、需要を調整力に使うというのは、非常に重要で、無駄な設備を作らないということが、託送料金を抑えることにつながる。
  • どこで、どのような検討状況で、本来どこでやるべきかの整理は必要。また、広域機関の問題であっても、この場で要望を述べることは重要。広域機関は基本的に事業者の集まりのため、社会全体から見ておかしい点があればこの専門会合で議論すべき。適宜、状況を報告してもらい、共通認識を図りたい。
    Jパワーは相当重い問題を提起した。従量料金と固定料金の割合や、そもそも固定料金をどう決めるかということにも関係してくる問題で、kWとkWhだけで整理できる問題ではない。kWには、最大容量という意味と供給力として意味があり、今回は前者の話。色々な要素があって今は必ずしも合理的な振り分けではないのではないかという提言だったのではないか。この点に関して、託送料金審査では、従来の固定費の割り振りの考え方をとりあえず継続して議論を先送りしたが、改めて考えるという意見だった。
    固定費について、長期的には減る方向に改革すべきという点は賛成。ただし、これが最優先であり、これが改善されない限り、他が手を付けられないというわけではない。それぞれの問題をより合理的な方法に変えていかなければいかない。
    先着優先が予見可能性の優れた制度というのは、何と比較したものか。事業者にとってのお金と、全体として効率的になるかどうかという点の2つは分けられると思っている。予見可能性を確保したうえで、今より合理性がある制度にするということが重要。
  • 託送制度については、需要地近接性割引にとどまらずいろいろな問題が絡んでいる。何が問題かを一度整理してほしい。イシューと方向性、電圧別の需要による託送料金が前提なのか/改めて新しい制度を議論する余地があるのかなど、大きい方向性について相互に絡む論点を整理してもらえると分かりやすい。
    • →制度、情報、各事業者の活動や課題について、様々な意見を頂いた。課題には、様々事柄か関係するが、これからは、ある人が発電事業者であったり、消費者であったりする変革がおこる。関連する情報については、事業者の御協力もいただきながら共有していきたい。
      エネットから様々な提案をいただいたが、誰が、どこで検討するか、という問題もある。エネットも含め、誰がどういうことを出来るかをご検討頂き、皆様が何に貢献できるかを含めてお話しいただきたい。(稲垣座長)
    • →色々な問題が錯綜しているので、整理して次回の会合で提示したい。低廉な送配電サービス、負担の公平制、送配電利用の高度化、調整力などの安定供給の点など、相互に関連する部分はあるが、視点としてはこのようなものがあったと理解。
      上位系統から下位系統への流れ、下位系統から安定供給に貢献するのではないかという話、電気の調整についての貢献について、昔と今では考え方が変わってきている。
      安定供給については、量と質の側面がある。太陽光は量から支えるとの話だが、他方で調整設備を追加的に設置したり、末端の電圧調整が必要だったりするので、そういった点にも適切に評価を行いながら、制度について検討する必要がある。
      連系線利用ルールは広域機関で色々と検討されている。また、4月に向けてルール改定もされようとしているところ。こうしたルールなどに不整合がないよう、専門会合の内・外で関係者連携して対応していきたい。
      料金制度のなかで、固定費と可変費、kWとkWhの問題について、現状、本来は固定費だが従量料金に入ってきている部分が少なからずある。電圧によっても違う部分もあるが、本日も設備に着目して考えていく必要があるとの御指摘があったが、検討課題と認識。託送制度を通じて効率的な設備形成を実現していくとの視点も含めて考えていく必要がある。(都築課長)

以上

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最終更新日:2016年4月19日
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