電力・ガス取引監視等委員会
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制度設計専門会合(第6回)‐議事要旨

日時

平成28年4月26日(火曜日)17時00分~20時00分

出席者

稲垣座長、林委員、圓尾委員、安藤委員、岩船委員、大橋委員、新川委員、辰巳委員、松村委員

オブザーバー等
児玉SBパワー株式会社取締役COO、谷口株式会社エネット取締役営業本部長、星電源開発株式会社審議役、鮫島F-Power常務執行役員CRO、村上日本卸電力取引所理事長、佐藤電力広域的運営推進機関理事、瀧本中国電力株式会社執行役員、野田関西電力株式会社執行役員、小山中部電力株式会社執行役員、澤井消費者庁消費者調査課長、小川資源エネルギー庁電力市場整備室長

主な意見

①卸電力市場活性化に向けた取組について

  • 旧一般電気事業者と協議を進めている中、電発電源の切出しが進まない要因は何か。「いつまでにどの程度の切出しが必要か」という数値目標を提示することは材料にならないか。旧一般電気事業者も強制的措置が講じられた場合との利益考量が可能となるのではないか。
    • →①震災以降、需給状況が悪化したことと、②財務状況が悪化し、電力会社のステークフォルダーの理解が得られないことが主な原因と考えられる。
    • →国が電発電源の切出しスケジュールやガイドラインを示せば切出しができるのではないか。旧一般電気事業者には、電力システム改革の趣旨を踏まえて協力して欲しい。(稲垣座長)
  • 電源を切り出す上で強制的な手段を講ずるか否かについて検討を進めるべき。基本協定の多くは自由化以前の電気事業法に基づくもの、事情変更の法理により契約変更が可能ではないか。グロスビッデングは良い提案。取組を強制するものではないが、導入に反対する事業者は存在しないはず。
  • 電発電源の切出しについては、自主的か強制的かを問わず、まずは卸電力市場の活性化に向けてどの程度の切出し量が必要かを示してから議論されるべき。
  • 日本卸電力取引所から提案されたグロスビッデングは導入した海外でどうして取引量の拡大に寄与したのか。卸電力市場の流動化に関する数値目標を示すことは難しいのではないか。
  •  前回、座長から競争と協調との発言があり、何ができるか考えているところ。また、電発電源の切出しは現状ではあまり進んでいないが、これまでも電発と協議を継続しており今後も前向きに検討を進めていきたい。各社も自主的取組の改善案について検討を進めている。
  • 電発電源の切出しについては、これまで法律上特殊な地位にあった事業者が制度変更により、どのように変更されたかを法的に明確にしておく必要がある。また、グロスビッデングの導入については賛成する。
  •  取引所取引の増加は、旧一般電気事業者の余剰電力の投入だけでは不十分であり、電源を大量に保有する旧一般電気事業者の取組にかかっている。グロスビッデング導入についても前向きに検討して欲しい。
     取引所取引に関する具体的な数値目標を示すことは難しいが、現状の一日当たり5,000万kwh程度の取引量では圧倒的に不足していることは明白。連系線利用ルールの変更も含め、取引所取引の制約要因を解消する必要がある。
  • 本日の議論を踏まえて、旧一般電気事業者はぜひ前向きに電発電源の切出しについて検討を進めて欲しい。(稲垣座長)

②今後の託送制度の在り方について

  • 電事連、広域機関双方の発表で同意できる部分が多い。具体的には、電源側に託送料金の負担を求める点と、固定費の回収の在り方を見直す点。
    米国では、太陽光発電が増える中、固定費が回収できずに、事業者が料金を上げ、その反動で需要家が自宅の屋根に太陽光を設置するという悪循環に陥っている。
    日本でも同様の問題が今後発生することを懸念しており、電事連や広域機関の指摘は託送制度の見直しの中できちんと検討すべき。
  • 本日の最大の論点は固定費の回収。
    従量料金の中で固定費を回収することは、実質的には電気の使用に税をかけていることと同じであり、節電のインセンティブを与えている。
    基本料金と従量料金の比率を見直すことは合理的ではあるが、節電のインセンティブを小さくするという認識を持つべき。
    本来は節電や省エネは炭素税等の措置によって担保すべきであるが、それに先行して料金制度を見直すのは慎重であるべき。
  • 論じているのは小売料金ではなく託送料金。小売料金は二部料金制を維持すべきだが、託送料金については二部料金制を見直しても、省エネの阻害とならないのではないか。
  • 小売料金は託送料金に基づいて設定されている面がある。両者は無関係ではないはず。
    電源側に適切に料金負担を求められておらず、稼働率の低い電源が系統に接続されているという広域機関の指摘については、膨大な設備投資が必要であるために、再エネ電源の接続が進んでいないという実態も考慮すべき。費用負担ガイドラインで定められた一般負担の上限値も稼働率を考慮しているはず。
    本来特定負担とすべきものを一般負担となっているという電事連の指摘については、電源線のコストの透明性が低いことにも留意すべき。特定負担を増やすと、そのような不透明な部分が増えることになる。
  • 二部料金制度について、固定費をきちんと回収することの重要性は理解する一方、需要家の中で所得再分配の効果があることにも配慮が必要。料金制度を見直す前に、再分配の面を先に手当てすることが必要ではないか。
  • 電事連の資料に2030年の電力需要に関する言及があるが、長期的に人口が減少する予測がなされる中、2030年より更に将来の電力需要まで考慮して議論すべきではないか。
  • 発電側に料金負担を求めることについては、発電側の系統接続の障害とならないかという点について配慮が必要。
    連系線の利用ルールの見直し、地内系統の混雑緩和についてもご検討いただきたい。
  • 基本料金の割合が大きくなっても、一定の省エネのインセンティブは働くのではないか。
  • ネットワークを一番利用する主体は誰か、利用者間の公平性は確保されているかを考える必要がある。
    広域機関からの指摘は真摯に受け止めるべき。
  • 需要予測について、定性的には御指摘のようなマイナス要因もあるが、EVの普及や、低炭素化に伴う電化率の上昇など、プラスの要因もある。今後、流通設備が余るのであれば、事業者としても効率化を図ってまいりたい。
  • 対立点が鮮明になった。今回までのヒアリングの結果を踏まえて、託送制度の議論を進めていきたい。(稲垣座長)

③小売全面自由化後の状況及び「電力の小売営業に関する指針」の改定方針案について

  • 事務局は次回の専門会合において改正案の準備をお願いしたい。(稲垣座長)

④ネガワット取引について

  • ネガワット事業者を「特定卸供給事業者」と位置づけた上で、需要家保護の観点から一定の規律を求める一方で、過度な規制をかけないという方向性に賛成。
    ネガワット事業者については、抑制指令を出せるシステム環境を持っていることに加え、需要抑制をきちんと担保していることもその要件とすべき。
  • 規制のハードルを低くして、ネガワット事業者の参入を促すことに異論はない。ネガワット事業者は、需要家のロードカーブを管理するなど、需要家の需要情報を持つことになるので、ネガワット事業者に求める規律についてガイドライン等を検討すべきではないか。
    事務局資料P5の特定卸供給の図では、電力とお金の流れのみしか記載されていない。ネガワット事業者が需要抑制を事前に小売事業者Aに伝えることや、あるいはそこで送配電事業者が仲介して伝達することなど、需給運用のための情報の流れを構築することが必要。
    • →業務フローを示した上で、次回以降にご議論いただきたい。(都築課長)
  • 今後ネガワット利用の拡大が見込まれる中、消費者参加型のビジネスが増えてくる。制度設計に当たっては、消費者も理解できるように平易な言葉の使用を検討して欲しい。
    ネガワット事業者の資格要件を高くすることは好ましくないが、セキュリティや倫理の観点で、ガイドライン等で一定の制約を設けるべき。
    来年4月の制度化に向けてスケジュールがタイトであるが、実際の取引を意識した業務フローの検討、消費者に迷惑がかからないような制度設計を期待したい。
  • 資料は需要の抑制だけを念頭に置いているが、需要家の側からすれば「上げ」のDR(ディマンドリスポンス)も存在するため、DRの「上げ」も意識した制度設計とすべき。
    ネガワットについては他の場でも議論されているが、それぞれが有機的かつ密接に連携して議論を進めるべき。
  • 電力需給が逼迫しているという誤解を与えかねないことから、「上げ」のDRも意識した制度設計とすべき。

⑤一般送配電事業者に必要となる調整力の公募による確保の在り方について

  • 調整力の入札について、しばらくは旧一般電気事業者が支配的な事業者であり、必ずしも競争メカニズムは働かないことを認識する必要があり、一定の監視は必要ではないか。
    調整力のスペックについては、本来は監視よりも競争によって担保する方がよいが、しばらくはリクエストフォアプロポーザルのような類いの制度により、競争的なマーケットができるのではないか。特に、ネガワットに関して、十分機能を果たすことができるようなものについて、意見を言えるような仕組みがあって、それが出てくるとよい。
  • 調整力の必要量の設定という論点があるが、ネットワーク事業者は調整力を正しく区分し、公平に上げ調整、下げ調整を示し、それを公平・透明に調達していなければ、ネットワークとしての中立・透明を守るという責任を果たしていることにはならない。
    本当に安定供給のために調整力が必要であれば、そのコストは託送料金で回収するしかない。必要であれば正しく調整力として募集した上で事後評価を行い、必要な費用は託送料金で回収していくことがよい。
    標準化は必要。広域的な調整力確保を可能とすることを見据えてグラウンドデザインを行い、余計な事務コストやシステム開発コストがかからないように進めなければならない。
    電源Ⅱを調達するための環境整備は重要。
  • 複数の区分の調整力が必要になるが、スペックには反応速度だけではなく、持続可能時間もあるのかと思う。一般送配電事業者が根拠を説明する場合に、どういう電源等が入ってくると想定しているかを説明していただきたい。
  • 「一定の監視」については、今年度から個々の調整電源の稼働状況等について報告を求めることを予定している。需要側のリソースである自家発等についても同様に取り扱っていく。
    要件については、出力変化速度を念頭においているが、持続性についても論点。当委員会だけではなく、広域機関でも御議論を頂けると認識している。根拠については、公募の実施要領を公表していくことで調整力を提供可能な主体には広く働きかけをしていきたい。(都築課長)
  • 需要を増やす側のディマンドレスポンスは重要。調整力の観点から、下げ代対策である需要を増やすことに直結する話であり、広域機関や一般送配電事業者が検討するように促していただきたい。
  • ディマンドレスポンスについては、需要を上げる方向も重要。夏の昼間は供給力が不足しているというのは誤ったメッセージであり、これから再エネが増加したらそうではないということを認識していただきたい。

以上

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最終更新日:2016年5月16日
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